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物理:セラミックスに思わぬ難点

Nature 445, 7124

使用済み核燃料の地層処分計画は、特に注意を要するプルトニウムなどのアクチニド元素の分離にかかわるものが大部分である。これらの元素は、アルファ線を大量に放射し、ガラスよりもセラミックス中で固定化するのが望ましい処理法とされている。この役目に適していると喧伝されている一群の合成セラミックスは、地層中にあるジルコンからヒントを得て作られたものだ。ジルコンの耐久性の高さは、ウラニウムやトリウムの同位体を何十億年も保持してきたことから明らかである。今回、プルトニウムを多く含む材料を封じ込めるのに使われる合成ジルコンの新たな研究により、この材料が従来考えられていたよりも耐久性に乏しいことが示された。このような同位体から放出されるアルファ粒子は、セラミックス中の原子をあるべき位置からたたき出して、セラミックスを壊れやすくしてしまうのである。この結果からすると、たった1400年間の貯蔵で放射能漏れが起きる可能性があるということになり、これは固定化の目標とされていた24万1000年という期間よりもはるかに短い。プラスの面は、アクチニドの固定化に使われる、耐久性のもっと高そうな代替構造を評価する方法がこの研究から得られたことだ。

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