Nature ハイライト

宇宙:見つかった中で最も古い銀河

Nature 443, 7108

今週号186ページの論文で報告されている銀河は、現在知られているうちで最も遠方にあり、つまり今のところでは最も古い銀河である可能性がある。赤方偏移zがほぼ6のあたりでは多数の銀河が見つかっているが、これより古い銀河の観測は確実性や信頼性が低かった。しかし、今回の新たに発見された古い銀河ではz = 6.96という値が分光学的に得られており、この値はビッグバンから7億5千万年後の時代に対応する。そしてこの銀河のスペクトル中にはライマンα輝線がみられ、宇宙が現在の年齢の約6パーセントでしかなかったこの時代に活発な星形成活動が起きていたことを示している。この銀河は、マウナケア山頂のすばる望遠鏡に搭載したカメラSuprime-Camによる探査で見つかった。同じ探査で得られた銀河の個数密度は、銀河集団全体として見た場合、zがほぼ7のあたりでは、z = 6.6での個数密度の18〜36パーセントしかないことがわかった。ハッブル宇宙望遠鏡を使ったzが7〜8の銀河の探査に関するもう1本の論文では、zがほぼ7〜8のところにある銀河は控えめに見積もるとたった1個としている。ところが、zがほぼ7〜6の時期に進化がなかったとしたら、この値は10個になると予想される。このような結果に対する最も簡単な説明は、zが7〜8の時期にはまだ宇宙が若すぎて、小さな銀河の階層的な合体による多数の明るい銀河を形成するだけの時間があまりなかったというものだ。

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