Nature ハイライト

宇宙:宇宙論のパラドックスを解く

Nature 442, 7102

標準的な宇宙モデルは、宇宙の大規模構造はうまく記述できるものの、より小規模の構造についてはそれほどうまくいかない。例えばこのモデルでは、近傍銀河の中心における暗黒物質の密度プロファイルが「カスプ構造」をもつと予測しており、これは銀河の暗黒物質のハローが中心に「平坦な」コアをもっている可能性を示す観測結果とは異なっている。Mashchenkoたちは、数値シミュレーションを使って、このパラドックスを解決した。シミュレーションによると、小さな原始銀河のガスは、超新星という形での星からのフィードバックを受けて全体としてランダムに運動し、その結果、銀河中心での暗黒物質のカスプが平坦になった可能性が考えられる。カスプはいったん消失すると、その後に起きる銀河の合体でも形成されることはないため、銀河の大小に関係なく、現在の宇宙では暗黒物質のコアの密度プロファイルが平坦になってしまったらしい。

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