Nature ハイライト

構造生物学:曲げの力とヌクレオチド状態が連携して働いてF-アクチンの構造を調節する

Nature 611, 7935

ATP加水分解と共役したアクチン重合は、細胞が力を生み出すための基本的機構である。続いて、アクチンフィラメント(F-アクチン)のヌクレオチド状態と力が、F-アクチンのアクチン結合タンパク質との結合を微調整することによってアクチンの動的変化を調節するが、その機構はまだよく分かっていない。今回我々は、アクチンのヌクレオチド状態が、曲げの力によって誘発されるF-アクチンの構造変化を調節することを示す。ADP–F-アクチンとADP-Pi–F-アクチンの、結合している溶媒を可視化するのに十分な分解能で得られたクライオ電子顕微鏡構造によって、サブユニット間の界面が水分子で架橋されていて、この水分子がフィラメント格子の柔軟性に関係している可能性が明らかになった。ヌクレオチド溝に並んだ溶媒の大きな違いにもかかわらず、これらのF-アクチン構造はほぼ同一な格子が特徴であり、タンパク質骨格のコンホメーションはほぼ見分けがつかず、アクチン結合タンパク質が識別できるとは考えにくい。次に、曲がったフィラメントを再構築するために機械学習可能なパイプラインを導入したところ、構造の連続的な変化と側鎖レベルの詳細の両方の可視化が可能になった。曲がったF-アクチンの構造から、サブユニット間の界面で、ヘリックスの巻きのかなりな変化と個々のプロトマーの変形を特徴とする再構築が起こり、ADP–F-アクチンとADP-Pi–F-アクチンではこうした移行が異なることが明らかになった。これは、リン酸がアクチンサブユニットを硬くして、F-アクチンの曲がった構造全体を変化させることを示唆している。曲げの力がヌクレオチドの状態に応じて差異のあるコンホメーション変化を引き起こし、変化の規模はアクチン結合タンパク質が十分に感知できるものなので、アクチンのヌクレオチド状態は、F-アクチンの機械的調節の共調節因子の1つとして働いていると我々は考える。

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