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構造生物学:アクチンフィラメントの構築と老化の構造基盤

Nature 611, 7935 doi: 10.1038/s41586-022-05241-8

真核生物では、アクチンフィラメント(F-アクチン)の動的なターンオーバーが細胞の運動性を制御している。こうしたターンオーバーはF-アクチンのヌクレオチド状態の変化と共役しているが、F-アクチンがATPを加水分解し、次いでコンホメーションのわずかな再編成が起こって、最終的にアクチン結合タンパク質によるフィラメントの脱重合に至る仕組みはいまだに不明である。今回我々は、Mg2+またはCa2+の存在下で重合させたF-アクチンの全てのヌクレオチド状態におけるクライオ電子顕微鏡構造を、約2.2 Åの分解能で明らかにした。これらの構造から、アクチンの重合がヌクレオチド結合ポケット中にある複数の水分子の再配置を引き起こし、そのうちの1つを活性化してATPを求核攻撃させることが分かった。意外なことに、その後に起こる無機リン酸(Pi)放出のための出口はどの構造でも全て閉じており、これはPiの放出が一過的に起こることを示唆している。ATP加水分解とPi放出後に生じるヌクレオチド結合ポケットの小さな変化は、カギとなる1個のアミノ酸によって感知され、増幅されてフィラメントの末端にまで伝達される。また、ヌクレオチド結合ポケット内の水分子の位置の違いによって、Ca2+-アクチンの重合速度が、Mg2+-アクチンのものよりも遅い理由が説明される。この研究によって、アクチンフィラメントの組み立てと老化を支配している、溶媒を原動力とする再編成が解明され、画像化や治療用の薬剤や小分子の合理的設計を行うための基盤が整った。

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