Nature ハイライト

進化:低毒のカエルに似せて身を守るカエル

Nature 440, 7081

他の動物の餌となる動物では、外見を毒のある動物に似せることで、食べられないようにしているものがたくさんいる。こうした仕組みはベイツ擬態とよばれている。今週号には、近辺に生息する2種の毒ガエルのうち、毒の少ないほうの模様をまねることで、生き残りのチャンスを最大限にしているカエルが報告されている。これは一見すると反直観的な戦略だが、実はカエルができるだけ多くの捕食者の注意をそらすのに役立つのである。  C DarstとM Cummingsは、エクアドルのアマゾン川流域に生息する一群のカエルを調べてこのことを発見した。毒のないAllobates zaparoというカエルは、猛毒をもつEpipedobates parvulusと、それに近縁で低毒のE. bilinguisという2種のカエルと生息域を共有している。後者の2種の毒ガエルは似ているが、赤い色の警告用斑紋のパターンが異なっている。Darstたちは、これらの3種が共存している場所では、A. zaparoが2種の毒ガエルのうち低毒のほうのE. bilinguisをまねる傾向があることを見つけた。これはわけがわからない話のように思える。素直に考えれば、擬態をするカエル(擬態者という)の模様は、有毒ガエル2種の折衷型パターンになるか、あるいは猛毒のカエルに似せるものと低毒のカエルに似せるものの2パターンがみられるかのどちらかになりそうだ。  ところが、ニワトリが有毒ガエルを避けるようになる学習過程をDarstたちが調べたところ、擬態者であるA. zaparoが捕食されずにすむ仕組みが明らかになった。毒の強いほうのカエルを食べたニワトリは、この猛毒ガエルに少しでも似ているものを避けることを学習する。だが、低毒ガエルを食べたニワトリは、低毒ガエルをより特異的に避けることを学習する。そのため、A. zaparoは低毒のカエルに自らを似せることで、捕食者が過去にどちらの毒ガエルに出会ったかに関係なく、捕食者に襲われずにすむのである。

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