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神経:昆虫の記憶を担う脳細胞が見つかる

Nature 439, 7076

昆虫の視覚的記憶に必要な神経細胞が、巧妙な遺伝学的方法を用いて同定された。脳中央部の中心複合体と呼ばれる領域にある扇状体に存在する神経細胞が、ショウジョウバエが画像を記憶し、それに応じた反応をするのに必要であることがわかったのである。  M Heisenbergたちは、rutabagaという遺伝子をもたないショウジョウバエ変異体について調べ、この神経細胞を発見した。rutabagaは記憶の形成に不可欠なことが知られており、これを欠くショウジョウバエは視覚刺激を記憶できない。このことは、特定の図形を避けるようにあらかじめ訓練しておいたにもかかわらず、視覚刺激に応じて正しく行動できないことからわかる。しかし、Heisenbergたちが扇状体の2つの領域でrutabagaの発現を回復させたところ、ショウジョウバエはその課題を正しく達成できるようになった。  この研究で、比較的複雑な昆虫の脳で視覚的記憶を担う神経細胞群の一端が初めて明らかになったと著者たちは述べている。これまでは、もっと単純な脳を持つ軟体動物のアメフラシについて主に研究が行われてきた。「中心複合体は、繰り返しの多い規則的な構造だが、とんでもなく入り組んでいる」とW QuinnがNews and Viewsで述べている。

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