Nature ハイライト

Cover Story:ソーシャルキャピタルの利益:社会的に結び付いたコミュニティーが貧困を抜け出す道を与える仕組み

Nature 608, 7921

個々人のソーシャルネットワークとソーシャルコミュニティー、つまり「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」は、収入から健康までさまざまな結果に影響を及ぼすと考えられている。しかし、ソーシャルキャピタルの測定は難しい。今回2報の論文でR Chettyたちは、フェイスブック(Facebook)から得られた210億件の友人関係のデータを用いて、米国におけるZIPコード、高校、大学ごとの社会関係資本の測定結果を含むソーシャルキャピタルアトラスを構築している。著者たちは、異なるタイプの人々の間のつながり、社会的一体性、市民的関与という、3種類のソーシャルキャピタルを測定している。その結果、社会経済的地位が低い人々と高い人々の交流が多いコミュニティーで育った子供ほど、貧困から抜け出る可能性が大幅に高くなることが見いだされた。さらに著者たちは、階級の境界をまたぐ社会的交流を制限している可能性があるのは何か調べ、接触機会の少なさ(例えば、異なる社会経済的グループの子供は異なる学校に通うため)と、友達承認バイアス(自分に似た人と仲良くなりやすい傾向)の寄与はほぼ同じであることを見いだしている。

2022年8月4日号の Nature ハイライト

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