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進化:四肢動物の歩行の起源は「前輪駆動」?

Nature 438, 7071

陸上にいる現在の四肢動物は一般に「後輪駆動」式で、後ろ足が歩行や走行の際に大きな駆動力を発揮している。しかし、博物館に保管されていた3億6000万年前の化石標本が新たに解析され、四足の動物が陸上に進出するにあたっては「前輪駆動」の段階を経たらしいことが明らかになった。  報告したC Boisvertによると、最初の四つ足の脊椎動物が水中から腹ばいで出てくるときには、現在のヒレナマズのように乾いた地面を「すり足」で進むような移動方法を使ったのだという。彼女は、四肢脊椎動物の祖先にあたるパンデリクティス(Panderichthys)という魚類の化石標本を調べ、こうした結論に至った。この化石標本は1972年にラトビアで発掘され、現在はエストニアのタリン工科大学に保管されている。  Boisvertは、パンデリクティスの腹びれが胸びれよりもずっと小さいことに気づいた。したがって、胸びれのほうが体重の多くを担っていたと思われ、このために地面や浅い水たまりを、すり足で歩くことができたのだろう。陸上脊椎動物の移動様式は、この段階から、もっと後に出現する後ろ足の推進力の大きいアカントステガ(Acanthostega)の段階までのどこかの時点で、後輪駆動型へ移行したのだろうとBoisvertは付け加えている。

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