Nature ハイライト

免疫学:C型レクチンはSARS-CoV-2の付着受容体である

Nature 598, 7880

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)はアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)を用いて細胞に侵入するが、このウイルスがヒトに感染する際に気道で最初に遭遇する細胞の一部では、ACE2が高レベルでは発現していない。D Cortiたちは今回、C型レクチン受容体であるDC-SIGN、L-SIGN、シアル酸結合Ig様レクチン1(SIGLEC1)が、SARS-CoV-2の付着受容体として機能していて、ACE2依存的な侵入を増強することを示している。ACE2を発現する細胞ではSIGLEC1が発現していないため、著者たちは、この2つの受容体がトランスに機能する可能性がある(すなわち、SARS-CoV-2は、単核食細胞のようなSIGLEC1を発現する細胞に捕捉された後、ACE2を発現する標的細胞へと移される)と提案し、その証拠を示している。さらに、一部の抗体の中和特性が、これらのレクチンの発現によって調節されることも分かった。スパイクタンパク質のN末端ドメイン(NTD)あるいは受容体結合ドメイン(RBD)の基部に対する抗体は、ACE2を過剰発現している細胞への感染を中和する活性が低いのに対して、受容体結合モチーフ(RBM)に対する抗体は、ACE2の発現量が低くてDC-SIGNやL-SIGNを過剰発現している細胞に対する感染を中和する活性が低かった。一部のRBD特異的抗体は、ACE2が存在しない場合でも、スパイクタンパク質の融合性再構成を引き起こして、細胞間の融合を促進した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度