Nature ハイライト
細胞生物学:MAP3K2によって調節される腸管ストローマ細胞は異なった幹細胞ニッチを規定する
Nature 592, 7855
腸管ストローマ細胞は、腸幹細胞の増殖と分化を調節することが知られている。しかし、この多様なストローマ細胞集団が組織の恒常性と修復を維持する正確な細胞機構や分子機構はほとんど解明されていない。今回我々は、MRISC(MAP3K2-regulated intestinal stromal cell)と命名した腸管ストローマ細胞の細胞群について報告し、これらがマウスで、腸管損傷後にWNTアゴニストであるR-spondin 1を供給する主要な細胞であることを示す。MRISCは、これまでに報告された他の腸管ストローマ細胞のサブセットとはエピジェネティック的にもトランスクリプトーム的にも異なり、戦略的に大腸陰窩の基部に局在して、R-spondin 1の産生促進を介してLGR5+腸幹細胞を維持し、急性の腸管損傷を防ぐ働きをしている。機構的には、このMAP3K2特異的機能は、これまで知られていなかった活性酸素種(ROS)–MAP3K2–ERK5–KLF2軸を介しており、R-spondin 1の産生を増強する。これらの結果から、MRISCは腸幹細胞ニッチの重要な構成要素であり、MAP3K2特異的に依存してWNTシグナル伝達を増強し、損傷した腸の再生を促すことが明らかになった。
2021年4月22日号の Nature ハイライト
工学:膨張式の折り紙シェルター
ナノスケール材料:自己生分解性ポリエステル
気候科学:公平性を含めた場合のメタンの社会的コストの国家間の大きな相違
生態学:侵略的外来種のコストを算出する
古生物学:穴掘り動物を発掘する
微生物学:CRISPRを介した変異誘発
コロナウイルス:モデルナ社製とファイザー社製のSARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導される抗体応答の解析
ワクチン:ナノ粒子インフルエンザワクチンに対する広範な交差反応性抗体応答の誘導
がん:AIを用いて臨床試験の適格性に取り組む
発生生物学:眼で起こる細胞小器官分解を見る