Nature ハイライト
発生生物学:PLAATホスホリパーゼによる水晶体の細胞小器官の分解
Nature 592, 7855
脊椎動物の眼の水晶体は繊維細胞で構成され、これらの細胞では膜で囲まれた細胞小器官が分化の最終段階で全て分解され、細胞小器官のない領域が形成される。この大規模な細胞小器官分解の基盤となる仕組みは、ほとんど解明されていないが、マクロオートファジーが関わっていないことはすでに明らかにされている。今回我々は、PLAAT(ホスホリパーゼA/アシルトランスフェラーゼ、別名HRASLS)ファミリーのホスホリパーゼ[ゼブラフィッシュではPlaat1(別名Hrasls)、マウスではPLAAT3(別名HRASLS3、PLA2G16、H-rev107、AdPLA)]が、水晶体のミトコンドリア、小胞体、リソソームなどの細胞小器官の分解に不可欠なことを明らかにした。Plaat1、PLAAT3は、細胞小器官の分解直前にサイトゾルからそれぞれの細胞小器官へと移行するが、この過程にはC末端の膜貫通ドメインが必要である。またPlaat1の細胞小器官への移行は、繊維細胞の分化と細胞小器官の膜の損傷に依存して起こり、その両方にHsf4が関わっている。Plaat1とPLAAT3は、膜へ移行後に細胞小器官を大きく破裂させ、その後に完全分解が起こる。PLAATファミリーのホスホリパーゼによる細胞小器官の分解は、水晶体が最適な透明性を獲得し、屈折機能を果たすために、極めて重要である。これらの知見によって、細胞内での細胞小器官分解に関する理解が深まり、脊椎動物が透明な水晶体を獲得する仕組みについての重要な知見が得られた。
2021年4月22日号の Nature ハイライト
工学:膨張式の折り紙シェルター
ナノスケール材料:自己生分解性ポリエステル
気候科学:公平性を含めた場合のメタンの社会的コストの国家間の大きな相違
生態学:侵略的外来種のコストを算出する
古生物学:穴掘り動物を発掘する
微生物学:CRISPRを介した変異誘発
コロナウイルス:モデルナ社製とファイザー社製のSARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導される抗体応答の解析
ワクチン:ナノ粒子インフルエンザワクチンに対する広範な交差反応性抗体応答の誘導
がん:AIを用いて臨床試験の適格性に取り組む
発生生物学:眼で起こる細胞小器官分解を見る

