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発生生物学:PLAATホスホリパーゼによる水晶体の細胞小器官の分解

Nature 592, 7855

脊椎動物の眼の水晶体は繊維細胞で構成され、これらの細胞では膜で囲まれた細胞小器官が分化の最終段階で全て分解され、細胞小器官のない領域が形成される。この大規模な細胞小器官分解の基盤となる仕組みは、ほとんど解明されていないが、マクロオートファジーが関わっていないことはすでに明らかにされている。今回我々は、PLAAT(ホスホリパーゼA/アシルトランスフェラーゼ、別名HRASLS)ファミリーのホスホリパーゼ[ゼブラフィッシュではPlaat1(別名Hrasls)、マウスではPLAAT3(別名HRASLS3、PLA2G16、H-rev107、AdPLA)]が、水晶体のミトコンドリア、小胞体、リソソームなどの細胞小器官の分解に不可欠なことを明らかにした。Plaat1、PLAAT3は、細胞小器官の分解直前にサイトゾルからそれぞれの細胞小器官へと移行するが、この過程にはC末端の膜貫通ドメインが必要である。またPlaat1の細胞小器官への移行は、繊維細胞の分化と細胞小器官の膜の損傷に依存して起こり、その両方にHsf4が関わっている。Plaat1とPLAAT3は、膜へ移行後に細胞小器官を大きく破裂させ、その後に完全分解が起こる。PLAATファミリーのホスホリパーゼによる細胞小器官の分解は、水晶体が最適な透明性を獲得し、屈折機能を果たすために、極めて重要である。これらの知見によって、細胞内での細胞小器官分解に関する理解が深まり、脊椎動物が透明な水晶体を獲得する仕組みについての重要な知見が得られた。

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