Nature ハイライト

冶金学:3D印刷のための新しいチタン合金

Nature 576, 7785

金属の3D印刷つまり積層造形は、部品製造のマス・カスタマイゼーションを可能にしつつある。しかし、有用な機械特性を持つ印刷金属の数が限られていることが大きな課題となっている。金属の積層造形プロセスでは、本質的に冷却速度が速く温度勾配が大きいため、特にチタン系合金では、ほぼ例外なく柱状の結晶粒が形成される。積層造形したチタン部品におけるそうした柱状の結晶粒は、機械特性の異方性の原因になる可能性があり、望ましくない。今回M Eastonたちは、チタン銅合金における組成的過冷却と呼ばれるプロセスを利用してデンドライト組織の形成につながる大きな温度勾配を相殺し、代わりに不均一核生成の波を生み出して、これが微細なβ相チタン結晶粒の等軸組織の形成につながった。さらに、層ごとの逐次的作製によって、それまでに析出した層において共析反応温度を超える温度と下回る温度の間で複数の熱サイクルが実現された結果、冷却速度が遅くなって改質が進み、超微細な共析層状組織が得られた。この材料は、印刷後に、鍛造・鋳造されたチタン合金Ti–6Al–4Vと同程度の機械特性を持ち、今回の設計概念の原理実証となっている。

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