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先見性のあるNature の論文や記事は、研究の励みになり投稿の意欲をかきたてられる

竹内 純 Ph.D.

幸運なことに、私はこれまでに4本の論文を Nature で発表することがでました。日ごろから Nature を愛読しており、よい研究成果が出ると、自然に「Nature で発表したいな」という思いを抱きます。論文としてだけでなく読み物としてもおもしろいのが、Nature のよいところだと思います。特にジャーナル前半部分の News & Views は、専門外の研究者でも気軽に読むことができ、研究成果に関する基礎知識や社会情勢についても触れながらコンパクトにまとめられており、毎週、必ず目を通すようにしています。

Nature には、ウィットに富んだタイトルや文章の言い回しが多く、魅力的な文章を書くためのよいトレーニングやヒントになっています。

私は東北大学を卒業後、奈良先端科学技術大学院大学で博士号を取得し、ポスドクを経て、トロント小児病院心循環器研究部(カナダ)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校付属グラッドストーン研究所(米国)にて研究活動を行いました。海外では、さまざまな国の留学生や研究者と一緒だったため、英語力以上に、コミュニケーション力や最新情報を得る努力が必要でした。例えば、優れた研究者と知り合い、深くつきあっていくために、自分の研究分野だけでなく、幅広く科学の最新トピックを把握し、情報交換することが求められます。Nature には、ホットでセンセーショナルな記事が常に掲載されているため、情報源として大いに活用しました。こうした努力は報われ、計5年にわたる海外研究生活では、納得できる研究成果と素晴らしい人脈の両方を手にすることができました。

Nature に掲載される論文は、先見性や時事的なインパクトが重要視されているように感じます。成果が断片的であっても、その成果がある研究領域の発展のトレンドとなるような場合には、論文を掲載されることが多いように思います。今後は、研究者と Nature が双方向的に関係しあい、互いを高め合っていけたらよいと期待しています。

Nature 掲載論文

Nature 2009年9月3日号

Letter: 爬虫類の心臓発生と心室の進化の分子基盤(表紙)

Reptilian heart development and the molecular basis of cardiac chamber evolution

Nature 461, 95-98 (3 September 2009) | doi:10.1038/nature08324

Nature 2009年6月4日号

Letter: 特定の因子がマウス中胚葉を心臓組織へと分化転換させる

Directed transdifferentiation of mouse mesoderm to heart tissue by defined factors

Nature 459, 708-711 (4 June 2009) | doi:10.1038/nature08039

Nature 2004年11月4日号

Letter: 心臓の発生におけるBAFクロマチンリモデリング複合体の機能にはBaf60cが不可欠である

Baf60c is essential for function of BAF chromatin remodelling complexes in heart development

Nature 432, 107-112 (4 November 2004) | doi:10.1038/nature03071

Letters to Nature: Tbx5遺伝子とTbx4遺伝子は肢芽が翼になる

Tbx5 and Tbx4 genes determine the wing/leg identity of limb buds

Nature 398, 810-814 (29 April 1999) | doi:10.1038/19762

Author Profile

竹内 純

心発生、心疾患に関わるクロマチン構造変換因子の分子生物学的生化学的研究

東京大学 分子細胞生物学研究所
エピゲノム疾患研究センター
心循環器再生研究分野 主任
准教授

1996年3月 東北大学理学部生物学科 卒業
2000年3月 奈良先端科学技術大学院大学博士課程 修了
2002年9月 トロント小児病院心循環器研究部門 特別奨励研究員
2003年9月 国際HFSP 長期フェロー研究員 (~2006年)
2006年9月 UCSF 付属グラッドストーン研究所 博士研究員
2007年3月 東京工業大学グローバルエッジ研究院 テニュアトラック助教
2009年11月 東京大学分子細胞生物学研究所高次機能研究分野 准教授
2010年4月 現職
竹内 純 Ph.D.

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