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腫瘍生物学:呼吸器ウイルス感染は肺の転移性乳がん細胞を目覚めさせる
Nature 645, 8080 doi: 10.1038/s41586-025-09332-0
乳がんは世界的に2番目にありふれたがんで、死亡例の多くは転移性疾患が原因であり、転移はしばしば長期間の臨床的な休眠状態を経て起こる。休眠状態の播種性がん細胞(DCC)の静止状態を乱す機構を理解することは、転移の進行に対処する上で大変重要である。インフルエンザウイルスや重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)などの呼吸器ウイルスによって引き起こされる感染は、局所性および全身性の両方の炎症を起こす。本論文で我々は、マウスにおいて、インフルエンザウイルスやSARS-CoV-2の感染が、肺で乳がんDCCの休眠促進性の表現型を喪失させ、感染後数日以内にDCCの増殖を引き起こし、2週間以内にがん細胞の転移病変への大規模な拡大を引き起こすことを実証する。これらの表現型の移行と拡大は、インターロイキン6依存的であった。我々は、DCCが肺のT細胞の活性化を障害し、CD4+ T細胞がCD8+ T細胞の活性化と細胞傷害性を阻害して、インフルエンザウイルス感染後の肺転移負荷を持続させることを示す。重要なことに、これらの実験結果はヒトの観察データと一致する。英国バイオバンク(全がん種)およびフラットアイアンヘルス(乳がん)のデータベース由来のがんサバイバーの解析では、SARS-CoV-2感染は、非感染がんサバイバーと比較して、がん関連死や肺転移のリスクを大幅に増加させることが明らかとなった。これらの発見は、呼吸器ウイルス感染が転移がんの再燃に大きな影響を与えることを明らかにし、感染症とがん転移との間のつながりに新たな知見をもたらしている。

