タンパク質工学:CRISPR-Cas配列をモデルにして設計された高度に機能的なゲノムエディター
Nature 645, 8080 doi: 10.1038/s41586-025-09298-z
遺伝子編集には、農業や遺伝子工学、さらにはヒトの健康に関する基本的な課題を解決できる可能性がある。微生物由来のCRISPRをベースとして用いるゲノムエディターは強力だが、ヒト細胞のような本来とは違う環境に導入した場合には、顕著な機能的トレードオフが生じることが多い。人工知能による設計ならば、進化上の制約をバイパスできる可能性がある強力な代替手段をもたらし、最適な特性を持つエディターを作成できる可能性がある。今回我々は、生物学的多様性についての大きなスケールで訓練された大規模言語モデルを用い、人工知能によって設計したプログラム可能な遺伝子エディターを使って、ヒトゲノムを正確に編集できることを実証する。この目標を達成するために、26テラ塩基の再構築したゲノムとメタゲノムを系統立ててマイニングして、100万個以上のCRISPRオペロンからなるデータセットのキュレーションを行った。そして、天然に見られるさまざまなCRISPR–Casファミリーにわたって存在するタンパク質クラスター数の4.8倍を生成させて、Cas9様エフェクタータンパク質に合わせてシングルガイドRNA塩基配列を作成することにより、このモデルの能力を実証した。作成した遺伝子エディターのいくつかは、原型的な遺伝子編集エフェクターであるSpCas9に比べると、塩基配列には400もの変異があるのに、活性や特異性が同等、あるいは高くなっていることが明らかになった。さらに、人工知能によって生成した遺伝子エディターの1つ(OpenCRISPR-1と命名)は、塩基編集にも適合することが実証された。我々は、研究や商業応用に広く、かつ倫理的に利用しやすいようにOpenCRISPR-1を公開する。

