植物遺伝学:隠れた多様性が階層的エピスタシスを介して植物の表現型変化を促進する
Nature 644, 8078 doi: 10.1038/s41586-025-09243-0
隠れた遺伝的バリアントは、単独では最小限の表現型効果しか及ぼさないが、遺伝的多様性の広大なリザーバーを形成し、エピスタシス相互作用を介して形質の進化可能性を駆動するとの仮説が立てられている。この古典的な理論は、遺伝子ファミリー、シス調節領域、調節ネットワークに存在する広範な多様性を明らかにしているパンゲノミクスによって、再び活発に研究されるようになった。隠れた多様性が表現型の多様化を促進する能力の検証は、解析が難しい遺伝学的性質、限られた対立遺伝子多様性、不十分な表現型分解能によって妨げられてきた。今回我々は、パラロガス遺伝子対における天然の、および改変したシス調節性の隠れたバリアントを手掛かりに、さらなる冗長性トランス調節因子を特定し、トマトの花序構造を制御する調節ネットワークを確立した。我々は、4つのネットワーク遺伝子全てを分離している集団において、コード変異とシス調節性対立遺伝子を組み合わせることで、広範な花序複雑性にわたる216の遺伝子型を作り出し、3万5000以上の花序において分枝を定量化した。この高分解能の遺伝子型–表現型地図を、エピスタシスの階層的モデルを用いて解析したところ、パラログ対内において、分枝を促進し、最終的に強力な相乗効果を引き起こす用量依存的な相互作用の層が明らかになった。これに対し、パラログ対間では、一方の対での変異の蓄積が他方の対での変異の効果を徐々に軽減するような、拮抗する層も特定された。我々の結果は、遺伝子調節ネットワークの構造と、パラログ多様化による複雑な用量効果が、どのように収斂して表現型空間を形成し、強く緩衝された表現型と表現型変化の突然の出現の両方の可能性を生み出すかを示している。

