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精密分光学:H2+の高精度レーザー分光法と陽子–電子質量比

Nature 644, 8075 doi: 10.1038/s41586-025-09306-2

水素分子イオン(MHI)は、いくつかの分野において知識を深めるのに適した三体系であり、そうした分野には、基本定数、量子物理学の検証、新しい粒子間力の探索、弱い等価原理の検証、そして、反分子p p e+が利用可能になった際の、CPT(荷電共役変換–パリティ変換–時間反転)不変性や局所位置不変性の新しい検証がある。これらの目標を実現するには、いくつかのアイソトポログ(同位体置換体)、特にH2+の高精度レーザー分光法が必要である。今回我々は、H2+回転振動遷移のドップラーフリー・レーザー分光法によって、2.2 × 1013という大きな線分解能を実現したことを報告する。我々は、8 × 10−12の分数不確かさで遷移周波数を正確に決定した。また、スピン–回転結合係数を0.1 kHzの不確かさで決定し、その値は最新の理論予測と一致している。H2+に関する我々の理論データと実験データを組み合わせることで、陽子–電子質量比mp/meの新しい値を推定することが可能になった。この値は、質量分析法から得られた値と一致しており、不確かさは2.3分の1に低減した。また、MHI、H/D、ミューオンH/Dのデータを組み合わせて、1.1 × 10−10の絶対不確かさでバリオン質量比md/mpを決定した。この値は、直接測定された質量比と一致している。さらに我々は、理論予測と実験結果の一致を示し、その分数不確かさは8.1 × 10−12であった。両方の結果は、量子理論の予測能力と、標準模型を超えた効果がこれらのレベルでは存在しないことの注目すべき確証となっている。

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