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医学研究:がん転移の際にはミトコンドリアの神経からがんへの移行が起こる
Nature 644, 8075 doi: 10.1038/s41586-025-09176-8
神経系は、がんの生物学的性質に極めて重要な役割を担っており、病理学的研究によって、腫瘍内の神経密度と転移が関連付けられている。しかし、がんに関連したニューロンの詳細な影響や、神経とがんの接点における情報伝達経路については、ほとんど解明されていない。これまでの齧歯類やヒトのがん除神経モデルで、がんは神経にロバストに依存することが明らかにされているが、神経を介してがんのアグレッシブさを高める基本的な機構は不明である。今回我々は、がん関連ニューロンが、ミトコンドリアをがん細胞へと受け渡すことによって、がんの代謝可塑性を高めることを示す。乳がんの除神経と、神経とがんの共培養モデルによって、ニューロンが腫瘍のエネルギー特性を著しく改善することが確かめられた。がん細胞と共培養したニューロンでは代謝の再プログラム化が起こり、ミトコンドリア量が増え、その後、隣接するがん細胞にミトコンドリアを移行させる。ミトコンドリア受容細胞の運命を詳細に追跡するために、我々は、細胞間のミトコンドリア移行のレポーターとして、受容側のがん細胞とその子孫を永久に標識するMitoTRACERを開発した。ニューロンのミトコンドリアを獲得した原発腫瘍のがん細胞の系譜追跡と運命マッピングにより、こうしたがん細胞は播種後に転移部位へ選択的に濃縮されることが明らかになった。まとめると、これらのデータは、原発腫瘍中でニューロンからミトコンドリアを受け取ったがん細胞では転移能が高まることを明らかにしており、これによって、神経系ががん細胞の代謝と転移性播種を助ける仕組みに関する新たな手掛かりが得られた。

