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トランスクリプトミクス:新たなモデル霊長類ネズミキツネザルの分子学的な細胞アトラス

Nature 644, 8075 doi: 10.1038/s41586-025-09113-9

ネズミキツネザルは、霊長類の中で最も小さく、最も繁殖速度が速く、また最も存在数の多い動物であることから、霊長類の生物学、行動、健康、保全のためのモデル生物として浮上している。ネズミキツネザルのマダガスカルでの生態や系統発生、生理機能について多くのことが分かってきているが、細胞学的および分子学的な生物学的性質についてはほとんど知られていない。今回我々は、ドロップレット法とプレート法の単一細胞RNA塩基配列解読を用いて、臨床的および組織学的に特徴が明らかにされた4匹のネズミキツネザルドナーから便宜的に得られた27器官の22万6000細胞についてのトランスクリプトームアトラスであるTabula Microcebusを作成した。我々は、コンピューターによる細胞クラスタリング、データ統合、専門家による細胞アノテーションを用いて、ネズミキツネザルの細胞を分子に基づいて750以上の細胞タイプに分類し、それらの完全な遺伝子発現プロファイルを定め、生物学的に体系化を行った。これには、幹細胞および前駆細胞と、精子形成、造血、他の成体組織における分化軌跡に沿って分化過程にある細胞など、従来のヒト細胞タイプのほとんどと相同性を示す細胞タイプが含まれている。また、これまで同定されていなかった、あるいはほとんど特徴が分かっていなかった数十の細胞タイプについても報告する。我々は、体全体の細胞タイプの分子的関係を明らかにするために、発現プロファイルを全体的に比較し、ネズミキツネザルのトランスクリプトームと、ヒト、マウス、マカクサルのトランスクリプトームを比較することで、霊長類の細胞や遺伝子発現の進化を探索した。これにより、霊長類の進化的特徴の細胞タイプ特異的なパターンと、ネズミキツネザルがマウスより良いヒトモデルになる多くの細胞タイプと遺伝子が明らかになった。このアトラスは、このモデル霊長類を研究する細胞学的および分子学的な基盤になり、他の新たなモデル生物の特徴を明らかにするための共通の手法を確立している。

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