がん:腫瘍ニッチ由来のタウリンは解糖系を駆動して白血病発生を促進する
Nature 644, 8075 doi: 10.1038/s41586-025-09018-7
微小環境からのシグナルは、発生、幹細胞の自己複製と発がんプログレッションに重要であることが知られている。これまでに、がんのプログレッションを促進するニッチ駆動型シグナルはいくつか特定されているものの、がん幹細胞受容体の疾患関連微小環境リガンドをマッピングするための協調的な取り組みは行われていない。本研究で我々は、時系列的なシングルセルRNAシーケンス解析(scRNA-seq)を用いて、発がんプログレッション中にLSC(leukaemia stem-cnriched cell)に作用する骨髄間質ニッチからの分子的シグナルを特定した。これらのデータを、我々のヒトLSCのRNA-seqおよびLSC依存性のin vivo CRISPRスクリーニングと統合し、白血病発生に不可欠なLSCとニッチ間の相互作用を見いだした。これらの解析により、タウリン–タウリントランスポーター(TAUT)軸が、アグレッシブな骨髄性白血病が持つ重要な依存性であることが明らかになった。また、システインジオキシゲナーゼ1(CDO1)によるタウリン生合成は骨芽細胞系列に限られており、骨髄疾患の進行中に増加することが分かった。骨芽細胞系列でCDO1の発現を阻害すると、LSCの増殖が障害され、生存転帰を改善した。また、TAUTの遺伝的機能喪失マウスと患者由来の急性骨髄性白血病(AML)細胞を用いて、TAUTの阻害はin vivoで骨髄性白血病の進行を著しく妨げることを示した。Venetoclax抵抗性のAMLではTAUTの発現が上昇していることと一致して、TAUTの阻害はVenetoclaxと相乗的に作用し、ヒト初代AML細胞の増殖を阻害した。我々のマルチオミクス手法は、タウリン取り込みの喪失は、RAG-GTP依存的なmTORの活性化と下流の解糖系を阻害するという機構を示唆した。以上、本研究は白血病プログレッション中の間質シグナルの時間的全体像を示し、タウリンが骨髄性悪性腫瘍の主要な調節因子であることを明らかにした。

