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がん:有糸分裂時の係留によって、粉砕された微小核染色体の遺伝が可能になる

Nature 618, 7967 doi: 10.1038/s41586-023-06216-z

染色体粉砕(クロモスリプシス)、すなわち1本(あるいは少数)の染色体の破砕と不完全な再編成は、がんのゲノム進化の原動力となる局所的で複雑な染色体再編成を引き起こす、広く見られる変異過程である。染色体粉砕は有糸分裂における染色体分離異常やDNA代謝によって開始することがあり、これは、染色体の微小核中での捕捉と、次の間期や有糸分裂開始後でのその後の断片化につながる。今回我々は、誘導可能なデグロンを用いて、染色体粉砕によって生じた微小核染色体の断片が、MDC1(mediator of DNA damage checkpoint 1)、TOPBP1(DNA topoisomerase II-binding protein 1)およびCIP2A(cellular inhibitor of PP2A)からなるタンパク質複合体によって有糸分裂中にまとめて係留され、それによって同一の娘細胞へ集団として引き継がれることを明らかにする。こうした係留は、紡錘体形成チェックポイントの一時的な不活性化後に染色体の誤った分離や破砕を経験した細胞が生き延びるのに、非常に重要であることが分かった。染色体の微小核移行に依存した染色体破砕に続いて起こる、デグロンが誘発する一時的なCIP2Aの減少が、分節の欠失や反転の獲得を引き起こすことが明らかになった。がん種横断的な腫瘍ゲノム解析を行ったところ、欠失が最小限のコピー数中立的染色体粉砕などのゲノム再編成のあるがんでは、CIP2AとTOPBP1の発現が全体として増加していたが、欠失が高頻度なカノニカルな染色体粉砕のあるがんでは、これらの発現は比較的減少していた。従って、クロマチンに結合した係留によって破砕された染色体の断片が近くに維持されるおかげで、1個の娘細胞核へと再び封入されて内部で再び連結することが可能になり、ヒトの大多数のがんに見られる、染色体粉砕によって再編成された継承可能な染色体が形成できるのである。

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