Article

植物生物工学:イネのCDP-DAGシンターゼのゲノム編集により複数の病原体への抵抗性を付与する

Nature 618, 7967 doi: 10.1038/s41586-023-06205-2

ゲノム編集の発見と応用により、研究者に作物ゲノムを正確に操作するための効率的なツールがもたらされ、植物育種の新時代が到来した。本研究で我々は、イネ(Oryza sativa)において広域の病害抵抗性を操作する、ゲノム編集の力を実証する。我々はまず、変異誘発を行ったイネ集団から擬似病斑変異体(LMM)を単離した。次に、我々がRESISTANCE TO BLAST1(RBL1)と名付けた遺伝子における29塩基対の欠失が広域の病害抵抗性を引き起こすことを実証し、この変異が収量を約20分の1に減少させることを示す。RBL1は、リン脂質生合成に必要なシチジン二リン酸ジアシルグリセロール(CDP-DAG)シンターゼをコードしている。RBL1に変異があると、ホスファチジルイノシトールおよびその誘導体ホスファチジルイノシトール 4,5-ビスリン酸(PtdIns(4,5)P2)のレベルが低下する。イネでは、PtdIns(4,5)P2は、エフェクター分泌や菌類感染に特異的に関連する細胞構造に豊富に存在しており、このため、病害感受性因子としての役割を担っていることが示唆される。我々は、標的ゲノム編集によってRBL1の対立遺伝子を得て、これをRBL1Δ12と名付けた。小規模圃場試験で評価したところ、この対立遺伝子はモデルイネ品種に広域の病害抵抗性を付与するが、収量は低下させなかった。我々の研究は、さまざまなLMM遺伝子とLMM作物に関係する戦略である、LMM遺伝子を編集することの利点を実証するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度