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神経科学:雌マウスで仔殺しと仔の保護を媒介する拮抗的神経回路
Nature 618, 7967 doi: 10.1038/s41586-023-06147-9
マウスを含む多くの動物種において、雌はその生殖状態により仔に対して著しく異なる行動を示す。未交尾の野生雌マウスがしばしば仔殺しを行う一方、授乳中の雌マウスは仔の保護に献身する。しかし、仔殺しを媒介する神経機構や、母親になり、それが母性行動に切り替わるのを媒介する神経機構は、いまだ解明されていない。今回我々は、母性行動と仔殺し行動は別個の競合する神経回路に支えられているという仮説に基づき、母性行動に重要な部位とされる内側視索前野(MPOA)を出発点として用いて、MPOAと接続する3つの脳領域が、仔に対する異なる負の行動を駆動することを見いだした。機能操作とin vivo記録から、分界条床核主核中のエストロゲン受容体α(ESR1)発現細胞(BNSTprESR1)が、雌マウスの仔殺し行動に必要かつ十分で、自然に活性化されることが示された。MPOAESR1ニューロンとBNSTprESR1ニューロンは、相反性抑制を生み出して、仔に対する正負の行動間の均衡をとっていることが分かった。母親になると、MPOAESR1細胞とBNSTprESR1細胞は興奮性を逆方向に変化させ、これが、仔に対する雌の行動の顕著な切り替えを後押しする。

