Article
物性物理学:EuRbFe4As4におけるスメクチック対密度波秩序
Nature 618, 7967 doi: 10.1038/s41586-023-06103-7
対密度波(PDW)は、クーパー対が平衡状態において重心運動量を担うことで並進対称性の破れが生じる超伝導状態である。高磁場中や、並進対称性を陽に破る密度波秩序を特徴とするいくつかの材料では、こうした状態を示す実験的証拠が存在する。しかし、他の空間的な秩序状態とは独立に存在するゼロ磁場PDW状態を示す証拠は、これまで見つかっていない。今回我々は、超伝導(超伝導転移温度〔Tc〕 ≈ 37 K)と磁性(磁気転移温度〔Tm〕 ≈ 15 K)の共存を特徴とする材料である鉄ニクタイド超伝導体EuRbFe4As4に、そうした状態が存在することを示す。我々は、分光イメージング走査型トンネル顕微鏡(SI-STM)測定を用いて、低温での超伝導ギャップが、単位胞の約8倍の非整合周期で長距離にわたり一軸性の空間変調を有することを発見した。Tmを上回る温度になると、変調された超伝導体は消失するが、一様な超伝導ギャップはTcまで残存した。外部磁場を印加すると、渦糸の内部でギャップ変調が消失した。SI-STMとバルク測定から他の密度波秩序が存在しないことが明らかになり、PDW状態がこの化合物での主要なゼロ磁場超伝導状態であることが示された。また、4回回転対称性と並進対称性の両方がTm以上で回復しており、これは、PDWがスメクチック秩序であることを示している。

