生物地球化学:エディアカラ紀のリン循環を明らかにする
Nature 618, 7967 doi: 10.1038/s41586-023-06077-6
リンは、海洋の酸素濃度をかなりの程度まで制御すると考えられている制限栄養塩である。エディアカラ紀(約6億3500万〜5億3900万年前)に海洋のリン濃度が上昇した可能性があり、これが酸素濃度の上昇の駆動要因として提案されている。しかし、この年代におけるリン循環の性質と変化についてはほとんど分かっていない。今回我々は、全球に分布する6つのセクションから得られた炭酸塩関連リン酸塩(CAP)を用いて、全球の海洋酸素化と同時に起こった大きな負の炭素同位体比異常である、シュラムエクスカーション(SE)における海洋のリン濃度を再構築した。我々のデータは、SEの減少部と増加部において海洋のリン濃度が急激に上昇したことを示唆している。我々は、定量的な生物地球化学モデルを用いて、この観測結果が、主に硫酸塩による海洋有機物の酸化で二酸化炭素とリンが放出され、さらに二酸化炭素による陸上での風化によりリンが放出されたことで説明できる可能性があると提案する。まとめると、この結果として、有機物由来の黄鉄鉱の埋設と海洋酸素化が増強された可能性がある。今回のCAPデータはまた、SEにわたる最大限度と最小限度の海洋無酸素状態での等価な海洋リン濃度を示唆しているようにも思われる。この観測結果は、リンと海洋無酸素状態の周期が、現在の海洋における連結性とは対照的に、分離していたことを反映している可能性がある。今回の知見は、エディアカラ紀の海洋酸素化を制御していたのは、海洋内部のリン–酸素循環だけでなく、むしろ硫酸塩の風化などの外的要因であった可能性を示している。さらにこれは、長期にわたる大気中の酸素濃度上昇の説明にも役立つ可能性がある。

