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分子生物学:全ゲノム倍加はクロマチン分離の発がん性喪失を促す
Nature 615, 7954 doi: 10.1038/s41586-023-05794-2
全ゲノム倍加(WGD)はヒトのがんで頻発する事象で、染色体の不安定性と異数性獲得を促進する。しかし、WGD細胞のクロマチンの三次元構造と、それが発がん性表現型にどのように関与するかは、現在のところ分かっていない。今回我々は、p53欠損細胞において、WGDがクロマチン分離の喪失(LCS)を引き起こすことを明らかにする。LCSは、短い染色体と長い染色体間、ABサブ区画間、隣接するクロマチンドメイン間での分離の減少を特徴とする。LCSは細胞のCTCFとH3K9me3の下方調節によって引き起こされ、四倍体チェックポイントの活性化を回避する。長期的解析により、WGD細胞では、LCSがサブ区画の再配置に備えてゲノム領域を整えることが明らかになった。これによって発がん遺伝子活性化に関連したクロマチン変化とエピジェネティック変化が起こり、WGD細胞から腫瘍が生じる。サブ区画の再配置事象は、染色体変化とはおおむね無関係であることは注目すべきであり、これらが相補的な機構として腫瘍の発生と進行に関与することを示している。これらを総合すると、LCSはクロマチンのコンホメーション変化を開始させ、それが最終的に発がん性のエピジェネティック変化や転写変化につながる。これは、クロマチンの進化が、WGDが誘発するがんの特徴であることを示唆している。

