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構造生物学:ヒト嗅覚受容体によるにおい物質認識の構造基盤

Nature 615, 7953 doi: 10.1038/s41586-023-05798-y

我々の嗅覚は、化学的に多様なにおい分子が形成している広大な空間内を移動することを可能にしている。この作業は、ヒトゲノムにコードされている約400種類のGタンパク質共役型嗅覚受容体の、コンビナトリアル活性化により達成される。におい物質が嗅覚受容体により認識される仕組みはまだ分かっていない。今回我々は、におい物質がヒト嗅覚受容体に結合する機構についての知見を示す。我々はクライオ電子顕微鏡法を用いて、脂肪酸であるプロピオン酸に結合した活性なヒト嗅覚受容体OR51E2の構造を決定した。プロピオン酸はOR51E2中の閉じられたポケット内に結合し、特異的な接触を形成していて、これが受容体活性化に重要である。OR51E2中のにおい物質結合ポケットに変異が生じると、鎖長がさまざまな脂肪酸に対する認識スペクトルが変わって、におい物質に対する選択性がにおい物質と嗅覚受容体間の密なパッキングによる相互作用により制御されることが示唆された。分子動力学シミュレーションによって、プロピオン酸により誘起される細胞外ループ3中のコンホメーション変化によりOR51E2が活性化されることが示された。まとめると我々の研究により、脊椎動物の嗅覚受容体によるにおい物質の化学的認識の高分解能描像が提供され、Gタンパク質共役受容体からなるこの大きなファミリーが我々の嗅覚を可能とする仕組みについての手掛かりが得られた。

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