アルツハイマー病:ミクログリアを介したT細胞浸潤がタウオパチーにおける神経変性を駆動する
Nature 615, 7953 doi: 10.1038/s41586-023-05788-0
アミロイドβの神経突起斑としての細胞外沈着と、過剰リン酸化凝集タウの神経原繊維変化としての細胞内蓄積は、アルツハイマー病の2つの大きな特徴である。アルツハイマー病での脳萎縮の局所的な進行は、アミロイドの沈着ではなくタウの蓄積と強く相関しているが、タウを介した神経変性の機構はまだ解明されていない。自然免疫応答は、いくつかの神経変性疾患の発症と進行に共通した経路である。これまでのところ、アミロイドβやタウ病変の存在下における適応免疫応答の範囲や役割、その自然免疫応答との相互作用についてはほどんど知られていない。今回我々は、アミロイド沈着またはタウ凝集に加えて神経変性を有するマウスの脳内で、免疫学的環境を体系的に比較した。その結果、タウオパチーマウスでは独特な自然免疫応答と適応免疫応答が生じたが、アミロイド沈着マウスではそうした応答は生じず、ミクログリアまたはT細胞を枯渇させると、タウを介した神経変性が抑制されることが明らかになった。T細胞、特に細胞傷害性T細胞の数は、タウオパチーマウスやアルツハイマー病脳の、タウ病変の見られる領域で顕著に増加していた。T細胞の数はニューロン脱落の程度と相関しており、T細胞は独特なTCRクローン拡大に伴って、その細胞特性を活性状態から疲弊状態へと動的に転換させた。インターフェロンγとPDCD1シグナル伝達の阻害は、どちらも脳萎縮を大幅に改善した。従って我々の結果は、活性化ミクログリアやT細胞応答を伴う、タウオパチーや神経変性と関連した免疫ハブの存在を示しており、これは、アルツハイマー病や原発性タウオパチーで神経変性を防ぐための治療標的となる可能性がある。

