Article

免疫療法:個別化細胞療法のためのT細胞受容体のウイルスを用いない精密な置換

Nature 615, 7953 doi: 10.1038/s41586-022-05531-1

T細胞は、T細胞受容体(TCR)によって、がん細胞の変異を特異的に認識できる。今回我々は、ウイルスを用いない精密なCRISPR–Cas9ゲノム編集に基づく臨床グレードの手法を開発し、2つの内因性TCR遺伝子であるTRAC(TCRαをコードする)とTRBC(TCRβをコードする)を同時にノックアウトするとともに、患者の循環血中T細胞から単離されたネオアンチゲン特異的TCR(ネオTCR)の2つの鎖をTRAC座位に挿入した。これらのネオTCRは、可溶性予測ネオアンチゲン–HLAの捕捉試薬の個別化ライブラリーを用いて単離された。さまざまな難治性固形がんの患者16人が、最多で3種類の異なるネオTCRのトランスジェニック細胞製剤の注入を受けた。各細胞製剤は、患者特異的なネオTCRを発現しており、細胞用量漸増、第I相ヒト初回臨床試験において投与された(NCT03970382)。1人の患者でグレード1のサイトカイン放出症候群が、1人の患者でグレード3の脳炎が見られた。全ての試験参加者は、リンパ球除去化学療法から予想される副作用を経験した。治療への最良の反応としては、5人の患者は安定(SD)であり、他の11人の患者では進行が見られた。ネオTCRトランスジェニックT細胞は、細胞製剤注入後の腫瘍生検試料において、注入前の元々のTCRよりも高い頻度で検出された。この研究は、変異したネオアンチゲンを認識する複数のTCRの単離とクローニングの実現可能性を実証している。また、ウイルスを用いないワンステップ精密ゲノム編集により、内因性TCRのノックアウトとネオTCRのノックインを同時に行うことができた。さらに、ネオTCRを持つ改変T細胞の臨床グレードでの製造、最多3種類の遺伝子編集されたネオTCR T細胞製剤注入の安全性、トランスジェニックT細胞の患者腫瘍への移動能力も実証された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度