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生態学:水分と密度依存的相互作用が熱帯の樹木の多様性に及ぼす影響
Nature 615, 7950 doi: 10.1038/s41586-023-05717-1
熱帯の樹木の多様性は降雨量とともに高まる。こうした降雨量に伴う汎熱帯的な多様性の増大には、水分の利用可能性による直接的な生理学的影響と、生物の相互作用を介した間接的な影響が寄与すると仮定されている。これまでの研究では、水分の利用可能性の変動が樹木の生存と多様性に及ぼす直接的な生理学的影響は実証されているが、水分の利用可能性の変動が生物の相互作用を介して多様性に及ぼす間接的な影響は示されていない。今回我々は、パナマ中部において、水分の利用可能性の年次変動、密度依存的な相互作用の強度、実生の多様性の間の関係を評価した。その結果、年次別の全20コホートにおいて、多様性は最初の1年間は土壌水分に応じて増大することが分かった。こうして1年目にもたらされた多様性の変化は、その後少なくとも15年にわたって持続した。水分に敏感な種の間に見られる生存の差異は、観測された多様性の変化には寄与していなかった。代わりに、より湿潤な年では、同種間の負の密度依存的相互作用が大きく、これによって多様性は増大した。これは、水分の利用可能性が、水分に敏感で密度依存的な同種間相互作用を介して、間接的に多様性を高めることを示唆している。熱帯林では、病原体や植食性昆虫が実生間の相互作用を仲介しており、こうした植物の敵の多くはそれ自体が水分に敏感である。気候変動や生息地破壊が引き起こす水分の利用可能性の変化は、こうした相互作用や熱帯の樹木の多様性を変化させると考えられる。

