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環境科学:中国の持続可能なイネの生産のための最適な窒素使用量戦略

Nature 615, 7950 doi: 10.1038/s41586-022-05678-x

収量を落とさずに農業での窒素(N)の過剰使用を避けることは、中国において長い間研究と政府の政策の両方の優先事項であった。イネに関連した戦略が数多く提案されているが、それらが国内食料自給率と環境の持続可能性に及ぼす影響を評価した研究はほとんどなく、数百万の小規模農家が直面する経済的リスクを考察した研究はさらに少ない。今回我々は、新しい小地域限定型モデルを用いて、経済的(ON)成果か生態学的(EON)成果のどちらかの最大化に基づき、最適N使用量戦略を確立した。次に我々は、広範な農場でのデータセットを用いて、小規模農家の収量損失リスクと、最適N使用量戦略を実行する際の課題を評価した。その結果、2030年における国内のイネ生産目標は、全国的なN消費量を、ONとEONのそれぞれについて同時に10%(6~16%)および27%(22~32%)削減しながら達成が可能で、それによって反応性窒素(Nr)の損失が7%(3~13%)および24%(19~28%)軽減され、N使用効率が30%(3~57%)および36%(8~64%)増加することが見いだされた。今回の研究は、不均衡な環境的影響を受けている小地域を特定し、それらを対象にして、土壌のN貯蔵や小規模農家の経済的利益を減らさずに、国内のNr汚染を提案されている環境しきい値以下に抑制するN使用量戦略を提案するものである。その後、経済的リスクと環境への利益の間のトレードオフに基づいて、望ましいN戦略がそれぞれの地域に割り当てられる。我々は、毎年改訂される小地域のN使用量戦略の適用を促進するために、監視ネットワーク、施肥割り当て、小規模農家への補助金などくつかの方策を提案する。

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