Article

免疫学:活性な好酸球が大腸炎における宿主の防御と免疫応答を調節する

Nature 615, 7950 doi: 10.1038/s41586-022-05628-7

この10年間に、単一細胞トランスクリプトミクスの助けを借りて新しい細胞のタイプや状態が解明され、これが、健康な状態と病気に関する細胞一覧の構築につながった。しかし、こうした進展にもかかわらず、一部の塩基配列解読が難しい細胞は、組織アトラスにはまだ載っていない。ヒトの数多くの病気に関わっている特徴の捉えにくい顆粒球である好酸球は、こういったアトラスに載っていない細胞の1つである。好酸球の不均一性やその多面的機能を支えている遺伝子プログラムは、いまだほとんど解明されていない。今回我々は、マウスの好酸球について、単一細胞レベルのトランスクリプトームの包括的なプロファイリングを行った。その結果、腸の好酸球の活性な集団と基底状態の集団が明らかになり、それらの間にトランスクリプトーム、表面のプロテオーム、空間的局在性に違いがあることが分かった。さらに、ゲノム規模のCRISPR遺伝子阻害スクリーニングと機能分析を行うことで、インターロイキン33(IL-33)とインターフェロンγ(IFNγ)が炎症を起こした大腸で活性な好酸球の集積を誘導する機構が明らかになった。活性な好酸球は殺菌活性とT細胞調節活性を持っており、共刺激分子CD80とPD-L1を発現する。興味深いことに、活性な好酸球は少数の炎症性腸疾患患者コホートの粘膜固有層に数多く存在し、CD4+T細胞と強い関連が見られた。これらの知見から、好酸球の生物学的な性質についての手掛かりが得られ、好酸球が腸の恒常性や免疫の調節、宿主の防御機構に重要な役割を果たしていることがはっきりと示された。さらに、ヒトの消化器疾患における好酸球の特徴を詳細に調べる枠組みが整った。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度