材料科学:アモルファス単層カーボンにおける、無秩序性によって調整される導電性
Nature 615, 7950 doi: 10.1038/s41586-022-05617-w
アモルファス(非晶質)固体の原子配置、特に無秩序度(DOD)と特性の相関付けは、3D構造中の原子の正確な位置を決定することが難しいため、材料科学や物性物理学における長年の難題となっている。この目的に向けて、2D系は、全ての原子を容易に画像化できるため、この難題に関する手掛かりをもたらす。レーザー支援蒸着で成長させたアモルファス単層カーボン(AMC)の直接画像化によって、原子配置が解像され、ガラス状固体が微結晶であるとする、ランダムネットワーク理論を超える現代的な考えが裏付けられている。それにもかかわらず、原子スケールの構造と巨視的な特性の因果関係はまだよく分かっていない。今回我々は、成長温度を変化させることによって、AMC膜におけるDODと導電性が容易に調整されることを報告する。具体的には、熱分解しきい値温度が、中距離秩序(MRO)を持つ可変距離ホッピング伝導AMCを成長させるカギとなる一方、温度を25°C上昇させるとAMCはMROを失って電気絶縁体になり、シート抵抗が109倍に上昇した。原子分解能の電子顕微鏡観察によって、連続ランダムネットワークに埋め込まれた高度にひずんだナノ微結晶が可視化されただけでなく、MROの有無と温度依存性のナノ微結晶密度という、DODを完全に記述するために提案された2つの秩序パラメーターが示された。数値計算によって、これら2つのパラメーターの関数として導電率ダイアグラムが確立され、微細構造が電気的特性に直接関連付けられた。今回の研究結果は、アモルファス材料の構造と特性の関係の基礎レベルでの理解に向けた重要な一歩であり、2Dアモルファス材料を用いた電子デバイスへの道を開く。

