構造生物学:リソソームのmTORC1–TFEB–Rag–Ragulator巨大複合体の構造
Nature 614, 7948 doi: 10.1038/s41586-022-05652-7
転写因子TFEBはリソソームの生合成とオートファジーのマスター調節因子である。mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex1)によるTFEBのリン酸化は、mTORC1の基質動員機構が独特であり、この機構はRagC GTPアーゼ活性化タンパク質FLCNのアミノ酸を介する活性化にほぼ完全に依存している。TFEBは、他のmTORC1基質の動員に関与するTORシグナル伝達モチーフを欠いている。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いて、リン酸化のためにmTORC1に提示されているTFEBの構造(「巨大複合体」と呼ぶ)を決定した。2つの完全なRag–Ragulator複合体は、それぞれのTFEB分子をmTOR活性部位に提示している。Rag–Ragulator複合体の1つは、以前にTFEBの無い状態で観察されたカノニカルな様式でRaptorに結合している。2つ目のRag–Ragulator複合体(非カノニカル)は、1つ目のRag–Ragulator複合体の上に、2つ目のRagulator複合体とRagCのGDPに依存する接触により連結している。非カノニカルなRag二量体は、TFEBの1つ目のヘリックスを、RagCGDPに依存するアスパラギン酸クランプにより、Rag Gドメイン間の割れ目中に結び付けている。このクランプのin cellulo変異によりTFEBは核へ構成的に移動するが、mTORC1の局在位置には影響がない。108個のアミノ酸からなるTFEBドッキングドメインの残り部分は、Raptorの周りに巻き付いてからRagAの方へと戻っていく。2つのRag二量体の両方でRagC GDP結合が2通りの使われ方をすることで、TFEBリン酸化のFLCNとRagCのGDP状態への強い依存性が説明される。

