Article

発生生物学:ヒト体節形成をin vitroで再構築

Nature 614, 7948 doi: 10.1038/s41586-022-05649-2

脊椎動物の分節ボディープランは体節形成の過程で確立される。体節形成は、モデル生物においてよく研究されているが、ヒトにおける詳細は、倫理的および技術的な制約のため、多くの点で不明なままである。最近、多能性幹細胞を用いたアプローチが進んでいるが、ヒトの体節形成の特徴を空間的、時間的な両側面からロバストに再現するモデルは十分に確立されていない。今回我々は、多能性幹細胞由来の中胚葉を基盤とする、ヒトの分節形成および体節形成の三次元モデル(「アクシオロイド〔axioloid〕」と名付けた)の構築に成功した。アクシオロイドは、in vitroにありながら、分節時計の振動動態と、連続的な体節形成の形態学的および分子的な特徴を正確に捉えている。アクシオロイドは、形成中の分節において、生体内で認められる特徴と同様の、適切な頭尾軸パターン形成を再現し、FGF–WNTシグナル伝達勾配やレチノイン酸シグナル伝達構成要素の前後パターンをロバストに示した。予想外なことに、レチノイン酸シグナル伝達は形成中の分節の安定化において重要な役割を果たしており、レチノイン酸と細胞外マトリックスが、それぞれの役割が異なるが、相乗的に体節の形成と上皮化に対して影響を及ぼすことが示唆された。ヒト胚との比較解析から、アクシオロイドとヒト胚に顕著な類似性があることが明らかになり、これは、アクシオロイドにはHoxコードが存在することによってさらに確認された。また、HES7およびMESP2に変異を持つ誘導多能性幹細胞を用いることで、アクシオロイドはヒトの先天性脊椎疾患の病因を研究するのに有用であることが示された。我々の結果は、アクシオロイドがヒトの体軸の発生や疾患を研究するための有望なプラットフォームであることを提示するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度