Article
物性物理学:結合量子ドットにおける最小キタエフ鎖の実現
Nature 614, 7948 doi: 10.1038/s41586-022-05585-1
マヨラナ束縛状態は、物性物理学における創発的な非アーベル励起の最も単純な例の1つである。キタエフによって提案されたトイモデルは、スピンを持たないp波超伝導鎖の末端でそのような状態が生じ得ることを示している。これを実現するための実用的な提案では、鎖中の隣接する量子ドット(QD)を、電子のトンネリングと交差アンドレーエフ反射の両方を通して結合させる必要がある。どちらの過程も半導体ナノワイヤーやカーボンナノチューブで観測されているが、交差アンドレーエフ相互作用は、容易に調整できるものでも、ドット状態のコヒーレントな混成を誘起するほど強力でもなかった。今回我々は、InSbナノワイヤー中のスピン偏極した2つのQDが、弾性共トンネリング(ECT)と交差アンドレーエフ反射(CAR)の両方によって強く結合した人工的なキタエフ鎖に、必要な全ての要素が同時に存在することを実証する。我々は、この系を、マヨラナ状態の対が容易に出現すると予測されるスイートスポットに微調整した。このスイートスポットでは、輸送特性が、対相関、ゼロ電荷、局所摂動に対する安定性を含む、そうした系に関する理論予測を満たしている。今回提示した単純な系は、トポロジカル秩序が出現する完全なキタエフ鎖をシミュレートするよう拡張できるが、非アーベルエニオンに関連する物理の探求にもすぐに使用できる。

