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神経科学:運動皮質のマニホールド探査中に見られる皮質–海馬間共役

Nature 613, 7942 doi: 10.1038/s41586-022-05533-z

システム固定、つまり長期的な記憶安定化のプロセスは、2つの段階を経て起こると仮定されている。新規の記憶には海馬が必要だが、新たな記憶は、時間経過とともに皮質のネットワークに組み込まれて海馬に依存しなくなる。この間に海馬–皮質間の対話が正確にどのように変化していくのか、皮質表現が同時にどのように変化するのかは分かっていない。今回、スキル学習課題を用いて、ノンレム睡眠中の領域間共役の動態を、一次運動野(M1)表現の安定性の変化とともにモニターした。その結果、海馬・前頭前野・M1間の正確な領域間共役は、2つの異なる処理段階に分けられることが分かった。特に、各動物で、パフォーマンスの安定化に伴い、前頭前野とM1睡眠時緩徐振動の共役が急増することが分かった。この急増に引き続いて、海馬の鋭波リップル(SWR)とM1の緩徐振動との共役の低下が起こり、これは海馬の関与終了と第2段階への移行を告げるフィードバックを示唆している。注目すべきは、第1段階では、訓練後睡眠中の海馬SWRとM1緩徐振動の共役が顕著に増加し、急速な学習とM1の低次元マニホールドの変動に密接に関連していたことである。意外にも、記憶固定がいったん済んだ後にも、課題のパラメーターを変えて新たなマニホールド探査を誘発すると、海馬–M1共役が再発する。従って我々は、学習と適応の際のマニホールド探査と関連して変動する海馬–皮質間対話の証拠を見いだした。

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