Article

代謝:CLSTN3βは脂肪細胞を多房性にすることで脂質利用を促進する

Nature 613, 7942 doi: 10.1038/s41586-022-05507-1

多房性脂肪細胞は熱産生脂肪組織の特徴の1つだが、細胞にこの表現型をとるようにさせる要因についてはほとんど分かっていない。今回我々は、胎盤哺乳類のみに存在するClstn3座位の脂肪細胞選択的産物(CLSTN3β)が、脂肪滴(LD)の拡大を制限することにより、貯蔵されたトリグリセリドの効率的な使用を促進することを明らかにした。CLSTN3βは小胞体膜の内在性膜タンパク質で、保存されたヘアピン様ドメインを介して小胞体と脂肪滴の接触部位に局在している。CLSTN3βを欠失するマウスは、褐色脂肪組織では脂肪滴の形態が異常になって脂肪滴の基質使用が変化し、アドレナリン作動性シグナル伝達には異常がないにもかかわらず、低温誘導性の低体温症を起こしやすくなる。逆に、培養細胞や脂肪組織では、CLSTN3βを強制的に発現させるだけで、脂肪滴が多房性の表現型を示すようになる。CLSTN3βはCIDE(cell death-inducing DFFA-like effector)タンパク質と結合して脂肪滴間で脂質を輸送するCIDEの機能を阻害し、それによって脂肪滴の融合と拡大を制限する。機能的には、CLSTN3βを発現している脂肪細胞での脂肪滴表面積の増加は脂肪分解装置の働きを促進し、脂肪酸の酸化を促進する。ヒトの脂肪では、CLSTN3Bは多房性脂肪細胞の選択マーカーである。これらの知見は、熱産生脂肪細胞での脂肪の形態と機能を調節して脂質利用を促す分子機構を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度