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行動遺伝学:マウスにおける睡眠量の転写調節に対するシグナル伝達経路
Nature 612, 7940 doi: 10.1038/s41586-022-05510-6
マウスとヒトでは、睡眠の量は遺伝的要因によって支配されており、加齢に依存した変動を示す。しかし、哺乳類で睡眠の長さを調節するための中核にある分子経路やエフェクター機構については分かっていない。今回我々は、アデノ随伴ウイルスを用いた体細胞遺伝学解析により、マウスの睡眠の転写調節に対する主要なシグナル伝達経路の特性を解析した。AMPK関連タンパク質キナーゼであるSIK3の活性化因子であるLKB1キナーゼを成体マウスの脳でキメラノックアウトすると、ノンレム睡眠の量と脳波デルタ波成分(睡眠深度の測定値)が顕著に低下した。LKB1–SIK3経路の下流のヒストン脱アセチル化酵素HDAC4とHDAC5の、成体脳ニューロンにおける機能獲得または機能喪失は、ノンレム睡眠量と脳波デルタ波成分を双方向に変化させた。さらに、HDAC4とHDAC5のリン酸化は睡眠要求の増加と関連しており、HDAC4は視床下部後部でノンレム睡眠量を特異的に調節する。遺伝学的研究とトランスクリプトーム解析では、HDAC4は転写調節と睡眠調節の両方でCREBと協調的に働くことが明らかになった。これらの知見は、転写調節因子を標的としたシグナル伝達経路が日常的な睡眠量を調節しているという概念を導入し、マウスの睡眠研究における体細胞遺伝学の威力を実証している。

