Article
植物科学:THP9はトウモロコシの種子タンパク質含有量と窒素利用効率を高める
Nature 612, 7939 doi: 10.1038/s41586-022-05441-2
トウモロコシ(Zea mays subsp. mays)の野生原種であるテオシント(ブタモロコシ)は、現代の近交系や雑種の大半に比べて種子タンパク質含有量が3倍であるが、このような形質をもたらす機構は解明されていない。今回我々は、トリオビニングによって、テオシントの1種Zea mays subsp. parviglumisの連続したハプロタイプDNA塩基配列を作成し、マップに基づくクローニングを通して、高タンパク質含有量の主な量的形質座位として9番染色体上のTEOSINTE HIGH PROTEIN9(THP9)を特定した。THP9はアスパラギンシンテターゼ4をコードし、この酵素はテオシントでは高発現しているが、近交系B73では発現していない。B73のTHP9では第10イントロンにある欠失が原因となって、B73のTHP9転写産物のスプライシングが正しく行われないのである。B73にテオシントのTHP9をトランスジェニック発現させると、種子タンパク質含有量が顕著に増加した。テオシントのTHP9を現代のトウモロコシ近交系や雑種に遺伝子移入すると、遊離アミノ酸、特にアスパラギンの蓄積が植物体全体で大幅に促進され、収量に影響することなく種子タンパク質含有量が増加した。テオシントのTHP9は窒素利用効率を高めると考えられ、これは低窒素条件下で高収量をもたらすのに重要である。

