腫瘍免疫学:αミオシンに特異的なT細胞は免疫療法に関連した心筋炎を誘発する
Nature 611, 7937 doi: 10.1038/s41586-022-05432-3
免疫に関連した有害事象、特に心筋炎のような危険な毒性作用は、抗がん治療での免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の有効性にとって重大な問題となる。ICIに関連した心筋炎(ICI-MC)が生じる原因はほとんど分かっていない。Pdcd1−/−Ctla4+/−マウスは、心筋T細胞の浸潤を含め、ICI-MCの臨床病理学的特徴を再現する。今回我々は、Pdcd1−/−Ctla4+/−マウスからの心筋免疫細胞浸潤物で単一細胞RNA塩基配列解読とT細胞受容体(TCR)塩基配列解読を行い、クローン性エフェクターCD8+ T細胞が支配的な細胞集団であることを明らかにした。抗CD8欠失抗体を投与すると、Pdcd1−/−Ctla4+/−マウスの生存が改善されたが、抗CD4欠失抗体の投与では改善されなかった。心筋炎を起こしたマウスから免疫細胞を養子移入すると、レシピエントマウスで致死性の心筋炎が誘発されたが、それにはCD8+ T細胞が必要だった。心臓特異的タンパク質αミオシン(胸腺には存在しない)は、劇症心筋炎のマウス由来の3種類の主要組織適合抗原複合体クラス1限定TCRへのコグネイト抗原の供給源であることが突き止められた。ICI-MC患者3人の末梢血T細胞は、αミオシンペプチドによって増殖した。さらに、αミオシンによって増殖したこれらのT細胞は、罹患している心筋および骨格筋とTCRのクローン型が共通しており、これはICI-MCではαミオシンが臨床的に重要な自己抗原である可能性を示唆している。今回の研究は、細胞傷害性CD8+ T細胞の重要な役割を強く示しており、ICI-MCでの自己抗原候補が突き止められ、今回の研究によってICIの毒性発現機序についての新たな手掛かりが得られた。

