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神経科学:においの動きの感知が複雑なプルーム内でのナビゲーションを強化する

Nature 611, 7937 doi: 10.1038/s41586-022-05423-4

自然界のにおいプルーム(におい物質の煙状の流れ)は、空間的に複雑で、気流の乱れによって急速に変動する構造を持つ。昆虫は、餌や配偶相手を探してプルーム中をうまく進むために、においの特性や強さ、タイミングといった、におい信号の複数の特徴を抽出・統合しなければならない。効果的なナビゲーションを行うには、こうした嗅覚情報の複数の流れのバランスを取り、それらを機械感覚や視覚的手掛かりなどの他の感覚入力と統合する必要がある。過去1世紀にわたる研究で、これらの多くの感覚入力のうち、乱流プルーム中では風が主要な方向手掛かりをもたらすことが示されており、これが、昆虫のにおいナビゲーションはにおい誘発性の風上への運動であるとする、長く確立されてきたモデルにつながった。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)が、においの動く方向という、また別の方向手掛かりを用いてナビゲーションを行っていることを示す。ハエはこの手掛かりを、2本の触角の間でのにおい信号の時間的相関を用いて検出する。自由歩行中のハエに、高解像度の仮想現実パラダイムを用いて時空間的に複雑な架空のにおいを送達したところ、そうしたにおいの方向感知に、視覚の方向感知と同様なアルゴリズムが使われていることが実証された。我々は、シミュレーションと理論と実験を組み合わせて、においの動きには、気流のみには含まれていない有益な方向情報が含まれており、ショウジョウバエと仮想エージェントの両者が、自然なプルーム中でのナビゲーションで、こうした情報に補助されることを示す。今回の知見の一般性は、におい方向感知が動物界全体に存在する可能性を示唆しており、不確かな環境内での嗅覚ロボットのナビゲーションを向上できる可能性がある。

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