免疫学:2型自然リンパ球の非冗長性機能
Nature 611, 7937 doi: 10.1038/s41586-022-05395-5
防御免疫は、相補的で冗長的な機能を持つ自然免疫細胞と適応免疫細胞の相互作用に依存している。自然リンパ球(ILC)は、T細胞システムの鏡像ともいうべき組織常在性の自然免疫細胞システムとして近年明らかにされており、T細胞システムとは細胞系譜を指定する転写因子やエフェクター機構を共有している。ILCはバリア表面に局在し、侵入してきた病原体に最初に応答するものの1つであるため、免疫応答の転帰を決定する可能性がある。しかし、ILCサブセットを特異的に標的化することに限界があったため、これまで防御免疫に対するILCの固有の関与を検討することができなかった。そのため、利用可能なデータは全て、適応免疫系を欠損させたマウスや他の免疫細胞サブセットにも影響を与えるツールを使って得られたものであった。加えて、他の免疫細胞がILCの欠損を補償することができるため、ILCは適切なの免疫応答に必要ではない可能性も提案されてきた。今回我々は、ニューロメジンU受容体1(Nmur1)プロモーターをCreリコンビナーゼと緑色蛍光タンパク質の同時発現のためのドライバーとすることで、他の自然免疫細胞や適応免疫細胞に影響を与えずに、2型ILC(ILC2)での遺伝子ターゲッティングを可能にするマウスモデルの作製について報告する。我々は、Nmur1発現細胞におけるCreによるId2とGata3の遺伝子欠損を使って、ILC2を選択的かつ特異的に欠損させたマウスを作製した。ILC2欠損マウスでは定常状態で好酸球数が減少し、アレルギー性喘息のモデルにおいて気道へ好酸球を動員できなかった。さらに、ILC2欠損マウスでは適切な免疫および上皮2型応答が起こらず、その結果、寄生虫排除が大きく損なわれ、非防御性の3型免疫応答を起こした。まとめると我々のデータは、定常状態および疾患時の適応免疫細胞存在下におけるILC2の非冗長性機能を明らかにするとともに、時空間的な分業に基づいた免疫系の多層構造を論証している。

