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有機化学:[3.1.1]プロペランからのメタ置換アレーンの生物学的等価体の合成
Nature 611, 7937 doi: 10.1038/s41586-022-05290-z
小環状かご型炭化水素は、薬剤設計においてよく見られるパラ置換ベンゼン環に代わる、一般的な生物学的等価体(代用分子)である。こうしたかご構造の有用性は、高い溶解性や代謝に対する低い感受性などの、親芳香族化合物より優れた薬物動態特性に由来している。典型例はビシクロ[1.1.1]ペンタンモチーフで、このモチーフは主に、ひずんだ炭化水素である[1.1.1]プロペランの橋頭間結合を、ラジカルまたはアニオンを用いて開環することによって合成される。これに対し、メタ置換アレーンに似た骨格は、置換ベクトルを正確に再現する飽和等価体の合成が難しいため、不足している。今回我々は、橋頭置換基が正確にメタ置換ベンゼンの幾何形状に写像する炭化水素であるビシクロ[3.1.1]ヘプタン(BCHep)が、[3.1.1]プロペランから都合よく合成できることを示す。我々は、[3.1.1]プロペランが、マルチグラムスケールで合成でき、容易に一連のラジカル系変換を起こして医薬品類似体を含む医薬品関連の炭素置換BCHepやヘテロ原子置換BCHepを生成することを見いだした。こうした類似体の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)特性の比較によって、アレーン含有親薬剤よりも優れた代謝安定性が明らかになり、このメタアレーン類似体の薬剤設計におけるsp3リッチモチーフとしての可能性が立証された。まとめると今回の結果は、BCHepがさまざまな方法を用いて有用なスケールで合成できることを示し、創薬プログラムでの実施用のメタ置換ベンゼン環の新しい代替モチーフを提示している。

