医用生体工学:ferrobot群を使うことで可能になった使いやすく適応性のある自動化ウイルス検出法
Nature 611, 7936 doi: 10.1038/s41586-022-05408-3
全体的な検査能力の拡大は、パンデミックの防止と封じ込めに不可欠である。そうすると、遠隔地などの分散型の環境中で資源効率よく核酸増幅検査を行う、使いやすく適応性のある自動化プラットフォームが必要となる。プール方式の検査は、プールの仕方がその地域でのウイルス保有率に基づいている場合には極めて効率が良いことがある。しかし、これには自動化、少量の試料の取り扱いとフィードバックが必要であり、これらは大量の検体を資本集約的に扱う現在のリキッドハンドリング技術では対応できない。今回我々は、このような制限を克服するために、ミリメートルサイズの磁石群を移動可能なロボットエージェント(「ferrobot」と呼ぶ)として用い、磁化した試料液滴の正確でロバストな処理と、核酸増幅検査に基づく柔軟なワークフローを高い忠実度で実現した。これにより、プリント基板を用いた手のひらサイズのプログラム可能なプラットフォーム内で、検査室でのプール方式の検査に含まれるのと同程度の、非常に多くの操作を行えることが実証された。これらの操作は、プール方式の検査で導入された正方行列アルゴリズムによって処理され、感染患者由来の試料を見つけ出す一方で、検査効率を最大化している。この自動化された技術を、臨床試料中の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法による検出に適用したところ、検査結果はこのチップを用いずに得られた結果と完全に一致した。この技術は、容易に製造と分配が可能であり、ウイルス検査に採用すれば試薬の費用は10分の1〜300分の1程度に減り(減少の度合いはウイルス保有率によって変動する)、計装費用は3桁低減する可能性がある。従って、この手法はパンデミックに備えて検査能力を拡大し、今後の自動化臨床検査を再考するための有望な解決策となろう。

