Article

がん:大腸がんでの転移性再発は残存するEMP1+細胞から起こる

Nature 611, 7936 doi: 10.1038/s41586-022-05402-9

原発性腫瘍の治癒切除を受けている大腸がん(CRC)患者の約30~40%は、その後数年以内に転移を発症すると考えられている。腫瘍再発を防ぐ治療法が必要だが、いまだに見つかっていない。今回我々は、CRC再発の原因となる残存腫瘍細胞のアイデンティティーと特性を明らかにする。CRC患者から採取した試料の単一細胞トランスクリプトーム解析では、予後不良と関連する遺伝子の大部分は、独特な腫瘍細胞集団によって発現されていることが分かり、我々はこの集団を高再発細胞(high-relapse cell;HRC)と命名した。また、原発性腫瘍の外科的切除後に転移性再発を生じるマイクロサテライト安定性CRCのヒト類似マウスモデルを確立した。残存HRCは、原発性CRCの外科手術後にはマウスの肝臓に潜伏しており、時間経過に伴ってLGR5+幹細胞様腫瘍細胞をはじめとする複数の細胞タイプを生じさせ、顕性転移を引き起こした。我々は、HRCのマーカー遺伝子としてEmp1(epithelial membrane protein 1をコードする)を用い、この細胞集団の追跡と選択的な除去を行った。EMP1high細胞を遺伝学的に除去したところ、転移再発は防止され、マウスは手術後も無病状態を維持した。また、HRCを多く含む微小転移巣にはT細胞が浸潤しているが、増殖の間に徐々に免疫排除されることも明らかになった。ネオアジュバント免疫療法による治療は残存転移細胞を除去し、手術後のマウスでの再発を防いだ。まとめると我々の知見は、CRCの残存病変での細胞状態の動態を明らかにしており、HRCを標的とする治療は転移性再発の回避に役立つと予想される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度