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気候科学:海流が示す弱い熱帯低気圧の全球的な強化

Nature 611, 7936 doi: 10.1038/s41586-022-05326-4

理論と数値モデル化から、海水温の上昇に伴って熱帯低気圧(TC)が強まることが示唆されている。予測されるTCの強化に関して、モデル間でおおむね一致が見られるようになったにもかかわらず、航空機の調査データによって不確かさが大きく低下している北大西洋を除く全ての海域では、観測されたTCの強度の傾向に関して依然として結論が出ておらず、活発な議論の的になっている。人工衛星を利用した従来の見積もりは、TCの強度の傾向を解明するには正確さが不十分で、大雨、雲、砕波、しぶきによる悪影響を受けている。今回我々は、表層漂流ブイから得られた大量の極めて正確な海流データに基づいて、1991〜2020年の期間に、弱いTC(つまり、サファ・シンプソン・スケールで熱帯暴風雨からカテゴリー1のTC)が全ての海盆で強まったことを示す。こうした漂流ブイは、深さ15 mに「穴あき靴下」型のドローグを沈めて大気と海の界面における過程によって生じる偏りを減らしているため、最も破壊的なTCの下でも、海面近くの流れを正確に測定できる。海流の速さは、全球では10年当たり約4.0 cm s−1というロバストな上昇傾向を示しており、これは、10年当たり1.8 m s−1というTCの強度の正の傾向に相当する。我々の分析結果はさらに、強度分布の全体にわたってTCが全球的に強まっていることを示している。最先端の気候モデルがこうした傾向を完全に再現できなかったことを考えると、今回の結果は、モデル物理学、シミュレーション、予測の評価に重要な歴史的ベースラインとなる。

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