ゲノミクス:高品質なヒト二倍体参照ゲノムの半自動化アセンブリ
Nature 611, 7936 doi: 10.1038/s41586-022-05325-5
現在のヒト参照ゲノムGRCh38は、高品質なアセンブリの生成を目指す20年以上にわたる取り組みの成果であり、社会に利益をもたらしてきた。しかし、この参照ゲノムにはまだ多くのギャップやエラーがあり、また、複数個体の情報が混ざっているため、生物学的なゲノムそのものと同等ではない。最近、最新のロングリード技術によって、テロメアからテロメアまでの高品質な参照ゲノムCHM13が生成されたが、これはほぼホモ接合のゲノムを持つ胞状奇胎細胞株に由来する。これらの限界に対処するため、ヒトの遺伝的多様性を表すパンゲノム参照のための高品質で費用効率の高い二倍体ゲノムアセンブリの生成を目標として、ヒトパンゲノム参照コンソーシアムが設立された。今回我々は、最初の科学的報告として、現在使われているゲノム塩基配列解読法とアセンブリ手法のどの組み合わせが、最小限の手作業によるキュレーションで、最も完全かつ正確な二倍体ゲノムアセンブリをもたらすかを調べた。その結果、非常に正確なロングリードと親子間データを、アセンブリの際にグラフに基づくハプロタイプフェージングと共に用いる手法が、他の手法よりも優れていることが分かった。我々は、最高性能の方法の組み合わせを開発することで、最初の高品質二倍体参照アセンブリを作成した。このアセンブリには、1染色体当たり平均で約4つのギャップしかなく、大半の染色体がCHM13の長さの±1%以内である。タンパク質をコードする遺伝子の約48%には、ハプロタイプ間で非同義なアミノ酸変化があり、また、セントロメア領域は最も高い多様性を示した。我々の知見は、単一ヌクレオチドから構造再編成まで、遺伝的変動の全体を捉えるパンゲノム参照用に、ほぼ完全なヒト二倍体ゲノムアセンブリを大規模に行うための基盤となる。

