生態学:ドイツの1世紀にわたる植物多様性の変化では被度の減少が増加を上回っていた
Nature 611, 7936 doi: 10.1038/s41586-022-05320-w
生物多様性データの長期的解析からは、生物群集には過去1世紀にわたって大幅な種の入れ替わりが見られたが、種の豊富さの変化はわずかだったという「生物多様性保全の矛盾」が明らかになっている。しかし、大半の研究は種の出現頻度のみに着目しており、局地的な個体数の変化を考慮していない。今回我々は、植物種の被度の変化を分析することで、これまで認識されていなかった生物多様性の変化のパターンを明らかし、その根底にある機構の手掛かりをもたらすことができるかどうか検討した。我々は、ドイツの、1927〜2020年に2~54回の調査が行われた永久植生および半永久植生の計7738プロット(計1794種の維管束植物からなる)について、データセットの収集・解析を行った。その結果、被度(全ての種およびプロットにわたり平均化した)の減少は増加よりも高い頻度で起きていること、被度が減少した種の数は増加した種の数を上回ること、そして、競争の敗者間での減少の分布は勝者間での増加の分布よりも均一であることが分かった。帰無モデルのシミュレーションからは、これらの傾向は偶然出現するのではなく、環境変化の種特異的な負の影響の結果であることが裏付けられた。長い目で見ると、これらの傾向は、局地スケールでも地域スケールでも種の大幅な喪失を招く可能性がある。こうした変化を10年ごとにまとめたところ、敗者種と勝者種の被度の平均的変化の不均衡は、早くも1960年代には生じていたことが明らかになった。群落における種の被度の変化は、生物多様性の変化の、重要でありながら研究が不足している側面であり、時系列解析ではこうした変化をより定常的に考慮すべきであると、我々は結論する。

